塾長ブログ

2026.02.18

令和8年度千葉県公立高校入試の講評

2月17日、18日と千葉県公立高校入試が行われ、今年の高校入試が一つの節目を迎えた。
令和8年度千葉県公立高校入試の入試問題について、当塾の講評を書いてみたい。

5教科合計の平均点は、昨年度の平均点よりも高くなりそうだ。

■国語
平均点は、昨年(56.6点)よりも若干下がると予測している。

出題構成や問題数は昨年度とほぼ同じであった。昨年度同様に、抜き出し問題はなく、記述問題が全体を通して3題、11点分出題された。記述問題については指定語を本文中から探すとある程度道筋が立てられたため書きやすい一方で、選択問題の選択肢は、まぎらわしいものも含まれていたので誤答を選択する受験生も多かったのではないかと考えられる。また、古文は本文中からのみでは内容を把握するのに時間がかかってしまった受験生も多かったのではないか。したがって、平均点は昨年よりもやや下がると思われる。

大問1の聞き取りは、昨年度と同様の問題数・配点であった。(1)は話していた内容ではなく、どのような説明をしていたか掴む必要がある問題であった。なお、次年度の入試から「放送による聞き取り検査」に代わり、話し合いの場面等を設定した文章による出題に変更になることが発表されている。

大問2、3の漢字の読み書きは、例年並みの難易度。読み取りは中学生で学習する漢字、書き取りは小学生で学習する漢字であった。読み取りの「賄う(まかな-う)」は中学生にとって身近な言葉ではないので間違えた受験生も多かったのではないか。
 
大問4の論説文は光嶋裕介『つくるをひらく』からの問題。例年同様に、同一作品からの引用文を用いた出題があった。写真を「撮る」と「見る」をきちんと読み分けなければならない文章であった。文法問題は「活用の種類」を見分ける問題で、確実に得点したい問題である。記述問題は比較的書きやすい一方で、選択問題は一見正答だと思われるような紛らわしい選択肢があるため、時間がかかってしまった受験生は多かったのではないか。

大問5の小説は今村翔吾『ひゃっか!』からの問題。記述問題は30~35字で3つの指定語が示され、文中の空欄に補充する形式であり、前後がきちんとつながるように制限字数でまとめることに時間がかかったのではないか。選択問題は比較的易しく、解きやすい問題であったのではないかと思われる。

大問6の古典は兼好法師『徒然草』からの出題。本文だけで読み取ろうとすると時間がかかった受験生も多いのではないかと思われる。設問や会話文にも目を通すと文脈の把握がしやすい問題であった。漢文の書き下し文を選択する問題では「無」や「不」を平仮名で表記するかどうかの知識を問う問題も出題された。記述問題は、指定された形を参考にすると正答に近づけたのではないか。
 
大問7の条件作文は、AかBかを選択して解く問題であった。二択であったので、自由な発想ではなく、それを選んだ根拠とその内容に沿った体験、ものに対する自分の考えを論理立てて構成する力が問われる問題であった。

■数学
平均点は、昨年(52.0点)並みと予測している。

大問1は、データの活用、確率の問題が注目される。データの活用は、同じデータを整理した階級の幅が異なる2つの度数分布表を元に、累積度数や四分位数を求める問題だ。上位校受験者でも解きにくく、ここで多くの時間を消費すると後続の問題を解く時間が圧迫されてしまう。確率は、サイコロを二度振り、サイコロの目→場所→得点と変換を2回行う問題。表で整理できるが、変換回数が多く解きにくかった。作図は三角錐の展開図で、同じ長さになるところに気付けば解ける。

大問2は、二次関数と一次関数の融合問題で、縦線の線分の長さの問題だ。変域ごとに二次関数と一次関数の大小関係を確認して方程式を解けばよく、上位校受験者は解きたい問題だった。

大問3は、平面図形の問題。「円の接線はその接点を通る半径と垂直である」を利用する証明問題で書きやすかった。後続の計算問題は、図形の中にある小さな直角三角形の外接円の半径を求める問題で、この小さな直角三角形の斜辺の2分の1が答となる。二等辺三角形の性質、内接円の半径、角の二等分線の定理、三平方の定理を組み合わせて解く問題で、難易度が高く上位校受験者でも解きにくかった。

大問4は、読解系問題で、1ページ半と昨年と同程度の文量だった。前半は相似や関数の基本問題だが、後半は「三平方の定理は使わず相似な図形の関係を利用して」と解き方が指定されているため、解き方を悩んだ受験生が多かったと思われる。

■英語
平均点は、昨年(47.1点)よりも大きく上がると予測している。

読解中の記述問題(空所補充を含む)8点分が削減され、英作文が8点から12点へ増加したものの、差し引き4点分は記述量が減少した。さらに小問数も32題から27題へ減少し、大問6以外はすべて選択問題となったため、全体としては無回答が出にくい構成であった。

一方で、読解問題は、選択肢と文章内容との照合が複雑であり、解答を確定するまでに時間を要した受験生も多かったと考えられる。文法分野は語形変化がなくなり、語順整序3題のみの出題となった。例年見られる難度の高い整序問題は含まれず、基本事項の理解があれば対応可能であった。分詞の後置修飾や間接疑問文など、頻出文法の定着が問われた。

大問1から4のリスニングは大きな形式変更はないが、大問1の放送回数が1回に減少した点は受験生がやや混乱した可能性がある。設問では、too…to~構文や make+O+原形 などを含む文が扱われ、単語レベルの聞き取りではなく、文構造を踏まえた内容理解が求められた。小問4は、短い長文読解を音声化したような出題であり、リスニングにおいても読解力が問われる傾向がより明確になった。

大問6の英作文は新形式で、学校の特色や魅力を説明する内容であった。イラストの補助がなく、自ら論点を組み立てる必要がある。内容自体は極端に難しいものではないが、三単現のS、複数形、冠詞など基本事項での減点は避けたい。

大問7の長文読解は本年度の大きなポイントである。(1)はプレゼンテーション形式で、一部設問が英語で示されるなど形式面での変化が見られた。内容一致問題では細部までの正確な把握が不可欠である。また、(2)の資料の読解では複数人物の発言を整理する力が求められ、In conclusionや participate inなど難易度の高い語彙の知識も得点を左右するであろう。

大問8の長文読解では記述問題が削除された一方、イラストの提示順を問う問題など、文章構成の理解が前提となる設問が出題された。「同じ符号を2回使用可」という条件の読み落としなど、設問を丁寧に読む力も得点差につながる。処理速度と内容把握の両立が求められる構成であった。

大問9の対話文は標準的であり、前後関係を丁寧に追えば対応可能であった。時間配分に余裕があったかどうかが得点に直結したと考えられる。

全体として、形式上は取り組みやすくなった一方で、読解においては「速さ」と「正確さ」を同時に求める方向へとシフトしている。今後は語彙力の強化に加え、早期からの長文演習を通じて処理能力を高めることが重要である。

■理科
今年度の理科は、平均点が昨年(55.4点)より上昇すると予測される。
出題形式は昨年度とほぼ同じで、記述問題は出題されなかった。

大問1は例年通り小問集合で、難易度は易しく、確実に得点したい問題であった。

大問2は中1地学「火山」からの出題で、(4)は2つの図を比較して火山の傾斜がゆるやかなものを選ぶ問題であり、思考力が問われた。

大問3は中2物理「電磁誘導」で、難易度は易しく、正解したい問題であった。

大問4は中2生物「刺激と反応」からの出題で、(3)は文章を正確に読み取り計算する問題であり、落ち着いて対応できれば難しくはなかった。

大問5は中3化学「イオン」の問題で、(4)は水酸化バリウム水溶液と硫酸の中和で生じる硫酸バリウムが水に溶けにくいことを理解しているかが問われ、上位校受験者は確実に正解したい問題であった。

大問6は中1生物「植物の分類」で、(4)は思考力を要する難度の高い問題であった。ヘゴという馴染みのない植物が登場したが、「種子をつくらない」「葉がある」という条件から、シダ植物であると判断できるよう工夫されていた。

大問7は中2化学「炭酸水素ナトリウムの熱分解」で、難易度は易しかった。

大問8は中3地学「星の日周運動・年周運動」で、(4)は文章を丁寧に読めば解ける割合の問題であり、上位校受験者は正解したい内容であった。

大問9は中1物理「物体にはたらく力」で、今年度の中では最も差がつく大問であった。特に(3)は、ばねを40cm引いても最初の30cmでは直方体が上がらず、仕事をしていないことを考慮する必要があり、難易度が高かった。

■社会
平均点は、昨年(51.7点)よりも大きく上昇すると予測している。

出題順は例年とは異なっていたため、戸惑った受験生もいたと思われるが、内容は平易な問題が多いのが特徴であった。
用語記述の問題が昨年度同様1題。記述問題は例年通り3題の出題。それ以外は記号選択問題であった。記号選択問題も、「全て(両方とも)正しいときに点を与える」問題が5題と半減したことも難易度が下がった原因ではないか。

大問1の3分野融合問題は、例年通り4題の出題。資料の読み取り問題を含めて、どの問題も平易な出題であった。上位校を目指す受験生にとっては落とすことのできない大問であった。

大問2の歴史(前近代史)は、(3)の南蛮貿易で日本から持ち出されたものを答える出題であった。日本の「輸入品」を覚えている受験生は多いが、「持ち出されたもの」を問われたため難易度が高かった。また、田沼意次の政治内容について問う記述問題は文中の空欄を埋める問題であったが、前後のつながりを考えて書く必要があったため書きにくかったと思われる。

大問3の歴史(近・現代史)は、古い順に並べ替える問題が出題されていた。アメリカに関する選択肢の並べ替えだったが、選択肢同士に歴史的な因果関係がほとんどなく、日本史と世界史の内容が含まれるため、歴史年表などで出来事をインプットしないと得点しにくい出題であった。

大問4の地理(世界地理)の(1)は、対蹠点の緯度・経度を問う問題であった。「北緯・南緯」「東経・西経」を逆にしただけの答えを選択した受験生も多かったのではないかと思われる。それ以外は、「プランテーション」など平易な出題であった。

大問5の地理(日本地理)は、(3)で「関東地方の土地利用(都心の土地利用)」を問う問題であった。知っている知識を使って解く問題ではないのに加えて、「有効活用」「効率的に利用」など語彙力も問われる出題であった。

大問6の公民(国際)は、アルファベットの略称に関する問題が出題されたが、4つの略称を知っている必要があったため、これまでよりも難易度が高い問題であった。

大問7の公民(経済)は、(2)のクーリング・オフ制度の説明は「『全ての』契約において理由に関わりなく一定期間内であれば~」という表現が誤っていることに気づく必要があった。細部まで読まなければならないので、非常に難易度が高かったのではないか。

大問8の公民(政治)の(2)は、三権分立の記述問題であった。「〇〇権」と「抑制」の語を用いる必要があったが、条件を満たさない答えを書かないように注意する必要があった。

追伸)
受験生の皆さん、お疲れ様でした。
全員の合格をお祈りしています。